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J 何度も読みたくなる本のオハナシ

【K】じつは、わたくしこういうものです
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じつは、わたくし
こういうものです
著者 クラフト・エヴィング商會
写真:坂本真典
出版社 平凡社
価格 \ 1,900
発売年 2002 年 2 月
ISBN 4582829929
この本に出てくるのは、18 人の特殊な仕事をしている人たち。
世間にほとんど知られていなかった職業を、写真とインタビューで
分かりやすく、魅力的に紹介しています。

たとえば『秒針音楽師』は、
秒針で計れる範囲の小さな音楽をつくる 28 歳の女性。
彼女の作品「一枚の落ち葉のための音楽」の美しい譜面は、落ち葉と同じ大きさ。

たとえば『チョッキ食堂』のご夫妻。
彼らのチョッキ食堂では、お客さんが選んだチョッキに合わせた料理が
出てくるそうです。

たとえば『コルク・レスキュー隊』は、
24 時間態勢で、ポロポロ・ボロボロ・グシャグシャのワインコルクを
救いに来てくれます。
ワインの中にひとかけらのコルク屑を落とすこともありません。

たとえば『白シャツ工房』では、白いシャツしか扱っていません。
完全受注生産で、半袖と長袖どちらかの白シャツをきちんと体にあ
わせて作ってもらえます。

たとえば『果実勘定士』の幸田さんは、
地球上に実るすべての果実を数えることが目標です。
彼の特技は、まだ果実の実っていない樹を見て、これから実る数を
正確にカウントできること。

この本の中で、私が一番気に入った職業は、『シチュー当番』。
冬の間だけ営業する「冬眠図書館」でシチューを作る仕事です。
春と夏は一生懸命働いて、冬の間は思うぞんぶん夜更かししてシチューと
コッペパンを食べながら本を読む…。
一年中、好きな本を好きなだけ読む生活も悪くないけれど、
「冬になったら読みたい本」を貯めておくのも楽しいかもしれない。
ちょっと惹かれる暮らしぶりでした。

文と装丁は、クラフト・エヴィング商會のお二人。
すばらしい発想を裏づけする、すばらしいデザイン力には
感心することしきり、です。
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