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K 何度も読みたくなる本のオハナシ

【K】きかんぼの ちいちゃい いもうと
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きかんぼの ちいちゃい いもうと
著者 作:ドロシー・エドワーズ
訳:渡辺茂男
絵:堀内誠一
出版社 福音館書店
価格 \ 1,400
発売年 2001年復刊
(初版1978年)
ISBN 4834007235

イギリスの(多分)けっこう良いお家のお姉さんが、
きかんぼの妹のことを語ります。

赤毛の「ちいちゃい いもうと」は本当にきかんぼです。
そのきかなさといったら、あのロッタちゃんもかないません。
食い意地がはっていて、わがままで、しんぼうが足りなくて、
絶えず注目を集めていたくって…。

小さいころ、私は本当になさけないほど小心者でした。
おにごっこをしていればオニになることを心底おそれ、
お昼寝は自分だけ取り残されそうで不安で眠れない、そんな子どもでした。
だから、この「ちいちゃい いもうと」の行動にはいつも、
わくわくよりもはらはら。

私なら絶対に、サンタクロースにかみついたりしないし、
お姉ちゃんの人形を窓から投げたりもしない、
せっかく送ってもらったドレスの布をはさみで切ったりなんて、とんでもない!

それでもくり返しくり返し読んだのは、出てくる食べものが忘れられないから。
川遊びにはレモネード、劇場ではタフィー、お茶の時間にはタルト、
誕生パーティは緑のゼリーのスポンジケーキ…、
あこがれの外国の匂いがするんです。

いま読み返してみると、周りの人がとても寛大なことに驚きます。
騒動を楽しんでいるかのような余裕は、さすがは大人の国、イギリス。
原題MY NAUGHTY LITTLE SISTERのNaughtyを、「きかんぼ」と訳すやさしさ、
堀内誠一さんの子どもにこびない挿絵、大人になってから気づく素晴らしさも、
たくさんある本です。

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