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皆川明の旅のかけら
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皆川明の旅のかけら
著者 皆川明
出版社 文化出版局
価格 ¥1,500+税
発売年 2003/11
ISBN 457930408
モリノウミ、ジェリービーンズ、ミスト、ヨアケ、タンバリン、
マーメイド、ソーダウォーター、マッチ、パーティ…
これは全部、mina perhonen のテキスタイル(生地)の名前です。

この本でデザイナーの皆川さんが語っているのは、
モチーフを描くときの気持ちや、自分のまわりの道具に対する思い入れ、
そして、デザインのきっかけとなる「旅で見つけて持ち帰ったものたち
(=旅のかけら)」について。
「ぼんやりと何本にもぶれていた線にピントが合って、一本に見えてくる」
そのタイミングで、新しいデザインが生まれます。

mina の布は、何となく懐かしくて、でも、今まで誰も見たことのない、
新しい意外な展開を見せてくれます。

「フォレスト」は、森の小鳥のテキスタイルで、小鳥がくわえている
木の実のあった場所だけ、実がなくなっている、というストーリー。
「キャンディ」は、白地に黄色と濃紺のストライプ生地で、スカートの
タックは、ストライプ模様に合わせて、細く浅く、繊細にたたまれています。
そうやってタックをとっていくと、「色の密度が変化する」のだそうです。
途中までは、確かにプリントされた生地だったはずなのに、
気がつくとプリントと同じ模様が刺繍されているスカートを
お店で見たときは、本当に手が震えました。
こんな風に、ていねいにていねいに作られている洋服たちは、
これはもう、芸術品です。

昔のマリメッコの生地や、ウィリアム・モリスのテキスタイルが、
今でもくり返し、あちこちで使われているように、手ぬぐいの模様が
古くさく見えないように、皆川さんのパターンだって、
この先何十年たっても、ずっと大切にされて残っていくに決まっています。
お母さんやおばあちゃんたちが、若い頃の着物を再利用するように、
私もいつか、着続けてぼろぼろになったminaのスカートをほどいて
再生させたいと思います。

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