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S 何度も読みたくなる本のオハナシ

最後の昼餐
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最後の昼餐
著者 宮脇壇(著)
根津りえ(絵)
出版社 新潮社
価格 ¥1,800
発売年 1997/12
ISBN 4103612045

今まで読んだ中で一番こころに残る本は、もったいなくて、
恥ずかしくて、とても人には教えられないけれど、
二番目、三番目の本たちは、ゼヒみんなに知ってもらいたい…。
これは、そんな本の中の、私の大切な大切な一冊。

「最後の昼餐」は、建築家の宮脇壇(ミヤワキマユミ)が
「長くつきあっているガールフレンド」根津りえ(テキスタイルデザイナー)
と二人で過ごした、二年分の週末ゴハン記録です。

宮脇さんは、1995 年に還暦を迎えるにあたって、週末は休むことを決意、
趣味の料理作りのために(もちろん自分の設計で)改築した
(大きなテラス付きの)マンションを用意します。
ほぼ毎週末、マンションのテラスで、レストランで、時には海外で、
ふたりは食事をし、その風景を根津さんが俳句を添えてスケッチ。
その食事の、質とバリエーションの豊かなこと!
お花見、花火大会、海外旅行、バレンタインにお互いの誕生日、
そしてお正月…、何ひとつおろそかにしない、オトナゴハンの素晴らしさ!!

二年後、宮脇さんは 62 歳でガンを宣告され、入院治療中にそれまで
のスケッチをもとにエッセイを書き上げます。本が出版されたのが
1997 年 12 月。亡くなったのは、翌 1998 年 10 月でした。

食を大切にする姿勢は入院中も変わりません。
60 歳を過ぎて、好きな仕事を続け、週末にはおいしいものを
大切な人と一緒に食べる。
健康だった頃も、死を覚悟してからも変わらない、
宮脇さんらしい活き活きと幸せな良い二年間が、
見開きのスケッチとエッセイから伝わってきます。

「最後の昼餐」は、満開の桜の下、テラスでのお花見。
その日の根津さんの句は、「しみじみと今しみじみと花の中」

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