HOME > オハナシ A to Z > 何度も読みたくなる本のオハナシ > T -【T】点子ちゃんとアントン
  オハナシ A to Z 05  
 
W 何度も読みたくなる本のオハナシ

ワンワンワン 捨て犬たちの小さなおはなし
< Prev|LIST|Next >
ワンワンワン
捨て犬たちの小さなおはなし
著者 絵と文:さかざきちはる
出版社 WAVE 出版
価格 \ 1,200+税
発売年 2002
ISBN 4872901185
「ワンワンワン」は、3匹の捨て犬たちの、3つの短い物語です。
チビ、リリィ、そして「名無し」が、それぞれ飼い主の勝手な事情
で捨てられて、施設に入れられ、でも最後には幸せになるお話。
JR 東日本 Suica ペンギンのイラストで有名な、坂崎千春さんが絵と
文を書きました。
文章とイラストはとてもシンプルで、ユーモアもあって、
最後はきちんとハッピーエンド、かわいい絵本です。

でも、この本を読むたびにとても切なくなります。
気持ちが弱っている時に読んだら、きっと泣いてしまいます。
それは、このハッピーエンドの裏側にある現実も見えてしまうから。
実際には、新しい優しい飼い主が見つかることは少なくて、
たとえば日本では、年間約 65 万頭の捨て犬や捨て猫が「処分」されている
そうです。
この本の犬たちが幸せになれたのは、
彼らの努力や願いが報われたのではなくて、偶然の結果です。

「ワンワンワン」のあとがきに、坂崎さんが書いています。
『何も出来ないとあきらめてしまうのではなく、望めば未来は変化
していくと信じたい。人と犬が共に暮らしてお互いを幸福にする、
そんな未来になりますように。』

私たちにできるのは、この本を読んだときの気持ちを、ずっと忘れずにいること。
そして、自分より弱い生き物をできるだけ守って、かわいがること。

    TOPへ