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Z 何度も読みたくなる本のオハナシ

絶対音感
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絶対音感
著者 最相葉月 著
出版社 小学館
価格 \ 1,600+税
発売年 1998/03
ISBN 4093792178
●絶対音感(ぜったいおんかん):ABSOLUTE PITCH
「任意の音の高さを、他の音との比較なしに知覚しうる能力」

ノンフィクションというジャンルがけっこう好きです。
自分がそれまでは全く知らなかったことを、きちんと言葉にして説
明してもらえると、すごく頭の中がすっきりして、
何だか自分が賢くなった気分になります。
そして、事実の追求と同じくらいたくさん、
作者の決意と情熱がノンフィクションには詰まっています。
そういう本を読んでいると、何となく洗脳されているようで、
強く思想を引っ張ってもらうのが気持ちいいんです。

「絶対音感」は、けっこう難しい本でした。
音感とは何か、という定義はもちろん、絶対音感を音楽家・評論家たちが
実のところどう思っているのか、
そして、絶対音感を身に付けるにはどうしたらいいのか…、
分からないことは、理解できるまで聞いてみる、話の裏づけは、必ずとる。
作者、最相さんの調査と取材は、膨大です。
研究発表のような、科学的・論理的な説明が続いて、その合間に出てくる
作者の好奇心と(良い意味での)偏見が、読んでいて快感でした。

本の最後に、バイオリニスト五嶋みどりと家族(母・五嶋節と弟・五嶋龍)
のことが書かれています。
他のややこしい部分は流し読みをしてもいいから、
この章だけは、じっくり何度でも読んでもらいたいと思います。
厳しい英才教育を実行した五嶋節の考え方には、いろいろ批判もあったかも
知れないけれど、子ども達それぞれの気持ちと合わせて読むと、納得がいきます。
母親の子どもに対する影響力の強さと、責任の大きさって
本当にすごいものなんですね。
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