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「100 万年も しなない ねこが いました。
100 万回も しんで、100 万回も 生きたのです。
りっぱな とらねこでした。
100 万人の 人が そのねこを かわいがり、
100 万人の 人が そのねこが しんだとき なきました。
ねこは 1 回も なきませんでした。」
100 万人の人にかわいがられても、自分のことしか好きじゃなかったねこが、
のらねこになって、はじめて自分自身のねこになります。
のらねこになってからも、ちやほやされるだけで、
相変わらずだれのことも好きじゃなかったのに、
あるときねこが、白いねこを好きになってから、
やっと、ものがたりが動きはじめます。
100 万人に飼われる、ねこが退屈する前半のくり返しの生活があるから、
のらねこになってから、白いねこに会ってからが、
とても幸せに見えるんです。
ハッピーエンドじゃないのに、幸せそうなラストです。
100 万回生きる、その言葉が、子どもにとってはとても強烈でした。
佐野洋子さんの描く、すごくきつい顔つきの女の子や王さま、
ぜんぜんかわいくない猫の絵も、子どものころは、なじめませんでした。
それでも、こわいものみたさのように、何度も何度も読んで、
ひとり暮らしを始める時には、持っていきました。
刷り込まれたように、佐野さんの小説やエッセイをたくさん読んで、
今では、この本は特別な名作だと思っています。
最近「100 万回生きたねこ」の、ぬいぐるみが売られています。
しかも、限定サイン本つき。
すごくリアルな、意地の悪そうな、ひねくれていた頃のねこの顔が、
なつかしさと同時に、大人ゴコロをくすぐります。 |
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